私の吉祥寺はafter acalaでーー第4話:吉祥寺 サンロードのおそろい

吉祥寺の美容院acalaに通う常連客の物語
吉祥寺の美容院acalaに通う常連客を主人公とした物語です。
acalaのプロモーションを目的に制作された作品です。
中央線沿線に住む主人公は、友人の紹介で吉祥寺の美容院acalaを知ります。
友人のオススメで試した髪質改善に感動し、常連客となった彼女は、
acalaの後に吉祥寺を散策するのがささやかな楽しみとなりました。
第4話で訪れる吉祥寺 サンロードでは、一体何が起こるのでしょう?
本作の主人公のように、
吉祥寺の美容院acalaを訪れる皆様に、心安らぐ一時をご提供できれば幸いです。
※本作品に登場する人物は架空の人物です。実在の人物とは関係ありません。
※前話はこちらからどうぞ。
私の吉祥寺はafter acalaでーー第4話:吉祥寺 サンロードのおそろい
私の吉祥寺は、いつもacala
から始まる。
……赤い炎が、翼を大きく羽ばたかせている。
今にもこちらに飛んできそうな、威厳ある火の鳥。
その燃え立つ羽ばたきが、優しく私を包み込む。
不思議と熱くはない。けれど確かに温かい……
「お疲れさまです。シャンプーを流しますね。」
まどろみの中で聞こえた声に、はっと意識が戻る。
今回も、火の鳥の夢を見ていたらしい。
私はあくびを噛み殺しながら、隣のシャンプー台へと誘導される。
「お湯加減、いかがですか?」
静かな声が、心地よい響きをもって耳に届く。
変に話しかけられるよりも、手を動かしながら要点だけ会話してくれる方がありがたい。
私は黙ってうなずき、やさしい泡で髪を洗われるのを感じる。
もみほぐされる頭皮に、じんわりとリラックスが広がっていく。
シャンプーを終え、今度は薬剤に髪をひたす工程だ。
私の髪を触りながら他のスタッフさんとも相談して、髪の状態に合わせた最適な配合を考えてくれているのが聞こえる。
その会話にも慣れたもので、何も考えず無心になり、目を閉じて過ごす。
……ふと、先ほどの火の鳥が脳裏に戻ってくる。
どうしていつもこの鳥の夢を見るのだろう?
熱くはないけれど力強く、どこか守られているような安心感がある。
施術がひと通り完了したころ、鏡に映った髪は見違えるほどさらさらになっていた。
指先が驚くほど軽やかに通り抜ける感覚に、いつも通り思わず笑みがこぼれる。
「いかがでしょうか?」
「いやぁ、ほんと、いつもありがとうございます!」
毎回お世辞抜きで、本気でそう言えるのは、嬉しいことだ。
新しい自分になった気持ちで、お店を出る。
……そういえば今度、子どものいる友人に会うから、何かプレゼントを買おうと思ったのだ。
確かサンロード商店街に、子ども服の店があった気がする。
つまり今日のafter acala
は、吉祥寺 サンロードに決定だ。
吉祥寺駅北口を抜け、アーケードの入り口へ向かうと、そこから吉祥寺 サンロード商店街がまっすぐに伸びている。
美容院の位置上、そのまっすぐ伸びた商店街の横から入る形になる。
なんとなく覚えていた黄色の看板をきょろきょろと探しながら歩き始めた。
休日ともなれば混雑でごった返すこの通りも、平日の昼下がりは少しゆとりがある。
……平日に堂々と休める休出に万歳!
お目当ての黄色い看板を見つけ、店先で物色する。
ふわふわのウサギ耳がついたパーカーを見つけた。
これ着せたら絶対かわいい!!
迷わず購入して、外へ出た。
……さてどうしたものか。
なんとなく考えながら、購入した服を手持ちのバッグにしまっていると、何かが落ちた。
……美容院で外して、しまったままにしていた帽子だ。
寒い冬に大活躍のイヤーマフがついており、温かいし可愛いから、お気に入りなのだ。
慌てて拾おうと身をかがめた、その瞬間……
――ビリリッ
「わっ……すみません!!」
嫌な音と共に、そんな声が聞こえた。
その結果は目の前の、イヤーマフと本体が破れて分かれた帽子だった。
タイミングが悪いことに、通りかかった人が帽子のイヤーマフ部分を踏んでしまったのだ。
拾い上げる力と踏む力が同時にかかり、イヤーマフが見事に破れてしまう。
呆然として声が出ない私に、申し訳なさそうな声がかけられた。
「本当にごめんなさい。もしよかったら、そこの帽子屋さんで新しい帽子を買い直すか、近くにリメイクできるミシン屋さんがあるから、直すかします。」
「あー……いや、だいじょうぶです。」
ならばせめてものと、財布を取り出し弁償代を渡されそうになったが、固辞してその場を離れた。
……とはいえ、いざ落ち着いてみると、勿体ないことをした気になる。
もらっておけばよかったかなぁ……でもお気に入りで何回も使ったから、お金もらうのは流石に悪いよなぁ……。
そんな風に考えながら歩いていると、ふと、帽子屋さんが目に入った。
……「そこの帽子屋さん」ってのは、ここのことかな?
時間もあったので、お店を覗いてみた。
色とりどりの帽子やストールは目にも楽しく、値段も手ごろだ。
だけどどうしても、お気に入りの帽子の代わりは見つからない。
……そういえば、リメイクできるミシン屋さん、とか、そんなこと言ってたっけ?
駅前の手芸屋のことだろうか?と思いながらWeb検索すると、なんと本当にミシン屋さんだった。
しかも吉祥寺 サンロードにあるらしい。
ものはためしとばかりに、早速行ってみる。
「あの、これのリメイクしたいんですけど……。」
店内に入りスタッフに事情を話すと、ミシンの基本的な使い方だけでなく、ミシン糸の色を変えて飾り縫いにする方法など色々と教えてもらえた。
それこそ後で駅前の手芸屋で材料を買って、レースをつけたりしてもよいかも。
試しにやりはじめると、どうアレンジしようかと、ワクワクした。
「手を加えた分だけ愛着が湧く」という言葉があるが、まさにその通りだ。
……後日、友人の子どもにパーカーをプレゼントしたら、
「おねぇちゃんもおそろい!」
と言われた。
友人いわく、私のイヤーマフが、たれ耳のウサギのように見えたらしい。
……吉祥寺 サンロードのおかげで、お気に入りの帽子に、ますます愛着がわくのだった。
――次回に続く――
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